代理人を立てて過払い金請求ができるケースや注意点とは

代理人を立てて過払い金請求ができるケースや注意点とは

過払い金についてご相談に来られる方の中には、ご家族の過払い金請求について相談される方もいらっしゃいます。

例えば、 「亡くなった夫の過払い金請求はもうできないのか」 「両親が過払い金請求をできる状態にないが、息子の自分でも過払い金請求はできるのか」 といったものです。

基本的に、過払い金請求ができるのは「借金をしていた本人」のみです。 ですが、借金をした本人が何らかの理由で過払い金請求ができない場合、代理人を立てて過払い金請求をすることは可能です。

ただし、それには条件や注意点があるので、どんな場合でもできるわけではありません。また、代理人になれる人も限られています。

今回は、代理人請求が出来るケースや代理人になれる人について解説します。

原則的には借金をした本人が過払い金請求をする

過払い金請求では、借金をした本人が過払い金請求をすることが原則とされています。 本人しか過払い金請求をおこなえない理由の1つに「個人情報が取り扱われる」という点があげられます。

例えば、過払い金請求をおこなう際「取引履歴」というものが必要になります。取引履歴は貸金業者に開示してもらう書類です。 取引履歴には、借入額や返済額、取引した日時などが記されています。これは、個人情報にあたるので、本人が手続きしないと貸金業者に開示してもらえないことがあります。

2つ目の理由に「本人の意思を尊重した解決をするため」ということがあげられます。 本人以外が手続きした場合、本人の意思にそぐわない形で請求が進んでしまう恐れがあります。さらに、請求が難しくなった時にそのまま請求を進めるのか、断念するのか代理人でははっきりできず、本人の意思が尊重されにくくなってしまうのも原因の1つです。

3つ目に「過払い金が本人の手元に行かないというトラブルを防ぐ」というのも理由としてあげられます。過払い金を取り戻しても代理人が着服してしまうことでトラブルになる、という可能性があるので代理人による過払い金請求は認められにくくなっています。

本人が依頼すれば弁護士や司法書士も過払い金請求ができる

上記で説明したように、基本的に過払い金請求は本人しか交渉できないようになっています。ですが、本人から依頼を受ければ、弁護士や司法書士が本人に変わり過払い金請求をすることもできます。

ただし、本人以外が依頼しても専門家であれ過払い金請求はできません。必ず本人の口から依頼したいという旨を伝える必要があります。

代理人が過払い金請求をできるケースとは?

絶対に代理人が過払い金請求できないわけではありません。できるケースもあります。

  1. 病気やケガで動けないケース
  2. 認知症などで判断力がないケース
  3. 亡くなっているケース
上記の3つのケースに該当する場合は、代理人が過払い金請求をおこなうことが可能です。

病気やケガで動けないケース

借金をしていた本人が病気や怪我で動けなかったり入院していたりする場合、例外として家族が代理人となれる時があります。それが「簡易裁判」の時です。

簡易裁判を行う際、代理人許可申請をすれば怪我や病気で出廷できない本人の代わりに代理人が出廷することができます。

また、病気やケガで本人が動けないケースの中には「本人に代わって専門家に依頼したい」と考えている方もいるかと思います。民法では、委任状があれば可能とされていますが、実際は委任状があっても本人の意思確認ができないと依頼を受けてもらえない可能性が高いです。

認知症などで判断力がないケース

借金をしていた本人に判断力がない場合も、代理人が過払い金請求をすることができます。例えば、認知症などで正常な判断が下せなくなってしまっている場合です。

本人に判断力がないと過払い金請求しても無効となってしまいます。そのため、成年後見人が代理人となることができます。成年後見人は、判断能力が不十分な状態にある成年を守るために作られた制度です。成年後見人は本人に代わって必要な契約の締結や財産管理をおこないます。

過払い金請求の意思があれば、認知症などで判断力が低下してしまった本人の代わりに成年後見人が過払い金請求をすることが可能です。

亡くなっているケース

借金をしていた本人がすでに亡くなっている場合、過払い金を請求できる権利が相続人へ移行されます。そのため、相続人が代理となって過払い金請求をおこなうことができます。

すでに借金が完済されている場合は、そのまま過払い金請求を進めて問題ありませんが、返済途中の過払い金請求には注意が必要です。 返済途中の状態で亡くなった人の過払い金請求をするには、一度借金も相続しなければいけません。返済途中の場合、借金を相続しないと過払い金請求権も相続されません。

そのため、返ってきた過払い金で借金が返済できないと、相続人が借金を返済していかなければならなくなります。一度相続したら途中で相続放棄をすることはできないので、相続人が過払い金請求をする時は、返済のリスクもしっかり考慮しましょう。

一般的には、すでに亡くなった方が返済を終えている時や、過払い金と借金を相殺してプラスになる時にだけ、相続人が過払い請求をするのが望ましいです。

亡くなった人の借金に発生した過払い金を相続人が請求する方法を詳しく知りたい方はこちら

相続人の過払い金請求で必要な書類

相続人が過払い金請求をする時にどんな書類が必要なのか紹介します。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 ●相続人全員の戸籍謄本遺産分割協議書相続人全員の印鑑証明書遺産分割協議書印鑑証明書遺言書(財産の分配方法を記している場合)

亡くなっている人の過払い金請求をする場合は、本人がなくなっていることやその本人の相続人であることを証明する必要があり、上記の書類が必要になります。

過払い金請求で代理人になれる人とは

基本的に代理人になれるのは、相続人や成年後見人です。その他、専門家以外には家族が代理人となる場合が多いです。 ですが、家族だけでなく、友人・恋人も委任状があれば代理人として貸金業者と過払い金の返還交渉をすることもできます。

しかし、裁判になってしまった場合、代理人と認めるかは裁判所によって異なります。 簡易裁判所なら代理人許可申請で代理人として認められます。しかし、地方裁判所の場合、申請をしても代理人として認められないため、交渉することはできません。

代理人が過払金請求をする際の注意点

和解交渉が難しい

委任状があっても、専門家ではない人が過払い金請求をおこなった場合、交渉が難航してしまうことがほとんどです。貸金業者は、過払い金を少なくしようと色々な方法を取ってきます。 そのため、過払い金請求に詳しく無い代理人が貸金業者と交渉すると、足元を見られてしまい、希望よりも低い額を提示されてしまうことが多いです。

中には、貸金業者に有利な条件で交渉してくるところもあります。

過払い金請求の成果の違い

専門家が交渉した場合、7割近くの過払い金を取り戻すことができますが、専門家でないと3割〜6割程度しか取り戻せません。

また、ゼロ和解を提示されることもあります。ゼロ和解とは、借金をなくす代わりに過払い金の支払いをしないことを持ちかける和解交渉です。

さらに、素人が過払い金請求をすると裁判に踏み込まないとみて、逆に裁判を起こすと脅しのような発言を受けたりするケースもあります。

報酬をもらってはいけない

過払い金請求などの専門的な知識を要する作業をおこなった際、司法書士や弁護士など法律の専門家以外の人が報酬を受け取ることは法律で禁止されています。

そのため、代理人が過払い金請求をした場合、借金をしていた本人から報酬を受け取ることはできません。本人から強く言われてしまっても断るようにしましょう。

まとめ

過払い金請求は基本的に本人と本人から依頼された専門家以外がすることはできません。

本人以外の代理人が過払い金請求できるのは、

  1. 病気やケガで動けないケース
  2. 認知症などで判断力がないケース
  3. 亡くなっているケース

家族や成年後見人、相続人が代理人となることができます。代理人となる場合は委任状が必要ですので、本人の意思をよく確認しましょう。

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